日本の伝統と現代の融合-根路銘まり流アートの旅
2023年 2月 22日沖縄の大学で染色工芸を学び、着物を作る複雑な工程に魅了されアーティストを志す。
根路銘まりさんは、伝統的な技法と、自然界における神と精霊の生と死、または神と精霊の存在をテーマとする独自の作品コンセプトを組み合わせています。
絵画に加えて、彼女の作品は鞠’s Collectionにつながりました。「今は『現代の装いに合う伝統的なフォルム』をテーマに、手染めの正絹生地を使ったつまみ細工アクセサリーに取り組んでいます。」とまりさん。
これまでのご経歴などについてお聞かせいただけますか? どのようにしてアーティストになられたのでしょうか?
幼少期より絵を描くのが好きで、祖父母の家で大半の時間を絵を描いたり、何らかの工作をしたりして過ごしていました。
高校生の頃、ファッションデザイナーになりたくて専門学校への進学を考えましたが、4年制の大学に進学してほしいという親の意見もあり、布を染める専門知識を学ぶため沖縄県立芸術大学の工芸専攻染織コース(正式名称:沖縄県立芸術大学 美術工芸学部 デザイン工芸学科 工芸専攻 染色コース)を受験しました。
進学先に沖縄県立芸術大学を選んだのは、沖縄の伝統的な染め物を学べる大学が他になかったからです。
当初は、ファッションデザインに活かせる染色技法を学びたいと思っていましたが、大学で初めて着物を制作した際に複雑な工程の難しさにやりがいを感じ、また技法そのものの面白さに惹かれていきました。それがきっかけとなり、伝統技法の美しさを独自の感性と融合し、現代芸術の世界に挑戦したいと思いから芸術家を目指すようになりました。
作品のインスピレーションはどこから受けていらっしゃいますか?
図案に関していえば、南国に分布する大樹「ガジュマル」をはじめ、樹木からインスピレーションを受けることが多いです。特によくモチーフとして選ぶガジュマルは独特な形をしており、生命の力強さや畏れを抱く自然の神秘が感じられます。
作品のコンセプトについては、生と死、自然の中に感じる神々や精霊の存在、日本の神話や伝説、などを題材にしています。また、世界で起こる様々な事柄からも常に影響を受け、それが自分の中で新しい表現と結びついていきます。一番最近手がけた作品は戦争と平和を題材に制作しました。他にも、小説や体験記、オペラなどのクラシック音楽からインスピレーションを受けた作品もありますね。
着物- KIMONOは、一枚の布の時と、身にまとった時に全く別の美しさを感じます。
樹木や自然の神秘からインスピレーションを受けるまりさん
布に絵を描く技術やプロセスについて、少し教えていただくことはできますか?この芸術の形態に物語や背景などはありますか?
私は「型染・糊防染」という技法を用いて作品を制作しています。
着物の場合は特に工程が多いため、かなり気合を入れて制作を始めます。
まず初めに雛形にデザイン案を描き、デザインが固まると大きな紙に原寸大草稿を描きます。私は着物を縫い合わせた時に絵柄が一枚の絵のように繋がる「絵羽模様」の作品を良く手がけるため、原寸大草稿の時点で縫い合わせた時の繋がり・絵合わせをしっかり構成しなくてはなりません。着物を染める時は、縫い合わさった着物の形に染めるのではなく、幅40cm 長さ13〜16mの細長い布に図案を写して染めていくので、どことどこが繋がるのかを正確に計算し、間違いなく把握していないといけません。何処かで間違えると、縫い合わせた時に絵柄がずれたりしてしまうのです。
先にも述べた通り工程が多いため全てを説明するのは難しいですが、染色作業の様子をまとめた動画がありますので、もっと詳しく知りたいという方はぜひご覧ください。
「ブログで工程の解説をすることもございますので、参照していただけると嬉しく思います。」とまりさん。
これまでの作品で、お気に入りの作品はありますか?それについて思いなど、詳しく教えていただけますか?
強いていえば大学院の修了制作で手がけた着物作品「黄泉がえり」ですかね。日本神話に出てくる死者の国への入り口、そして生と死の境界として制作した作品です。また、博士課程に入学してから制作した染色画「Lysistrata – 女の平和」、「死の灰」などは気に入っています。染色画という言葉はあまり知られていないですが、染色技法を用いた絵画作品のことです。
他にも、制作に時間のかかる着物作品にはやはり特別な思い入れがあります。「気にいる」という感情とは少し違いますが。
ただ、どの作品も100%満足しているものはありません。完成した作品を見ると、「ここはもっとこうすれば良かった」という点が幾つも出てきます。だからすぐに次の作品を制作したくなります。
染色画という言葉は、染色技法を用いた絵画作品のことです。
お客様はどのような方々が多いでしょうか?海外でも販売されていますか?
着物作品は一つにつき3ヶ月〜1年の制作期間を要するため、まだ数が少なく、今のところまだ販売はしていません。
染色画については、家にアート作品を飾りたいという方がお求めくださいます。
アーティストとしてはまだまだ駆け出しですので、そこまで売れているわけではありませんが。
手染の布を使用した鞠’s Collectionのアクセサリー類は、海外の方や海外で仕事をする日本人の方がお求めくださることが多いです。取引先へのプレゼントに選んでくださった方もいて、とても嬉しかったのを覚えています。
鞠’s Collectionの作品に圧倒されました。このコレクションのアイデアはいつ、どのようにして生まれたのでしょうか?
ありがとうございます。そう思っていただき嬉しいです。
母の仕事の関係で2年間ロシア・モスクワに住んでいたことがありました。モスクワでは年に2回、「日の出(HINODE)」と「J-fest」という日本文化イベントが開催され、鞠’s Collection のアクセサリーは 2017年の日の出に出展した時にはじめたものです。その年、イベント出店が決まったものの、手染のT-シャツなどは時間がかかるし、本番までに1ヶ月しかないため多くは作れない。さて、何を作ろうかとインターネットで日本の手芸を色々検索し、これならできそうだと思ったのが「つまみ細工」でした。イベントでは浴衣コンテストなどもあり、和服姿のロシア人が多く来場します。そのため、お気に入りの衣裳に合わせ、本格的な工芸品を手に取って欲しいという思いからこのアイデアが生まれました。
つまみ細工について、身近に技術を教えてくれる人もいなかったため、独学で技法を学びました。基礎技術をしっかり習得した後に、独自のデザインや技法を研究しました。当初はレーヨンの縮緬を用いた髪飾りをメインに制作していましたが、現地で働く日本人のビジネスマンから「スーツに合うピンバッジのようなものがあると嬉しい」というご意見をいただき、ラペルピンやカフスボタンなども手がけるようになりました。「鞠’s Collection」というブランド名が確立したのもこの頃からです。
今は「現代の装いに合わせた伝統の形」というテーマのもと、手染の絹地を用いたつまみ細工のアクセサリーを手がけています。
鞠’s Collectionには、髪飾り、ラペルピン、カフスボタンがあります。
Webnodeは、根路銘様のオンラインプレゼンスに役立っていますか?その場合、どのように役立ちましたか?
はい。とても役に立っています。自分が何者なのかを相手に示す時、直接お会いする場合は名刺もまだまだ主流ですが、ホームページはメールやラインにリンクを添付するだけで名詞よりも多くの情報を相手に伝えることができるからです。海外のイベント主催者とのやり取りは大体メールで行うため、ウェブサイトを送ることで履歴書・ポートフォリオ・作品画像や活動履歴などを全てまとめて見ていただくことができ、大変重宝しています。
また、サイト内のデザインを自分でカスタマイズすることができるため、instagramやfacebookなどのSNSよりも独自の世界観や自分の持ち味を表しやすい点が非常に気に入っています。
もしWebnodeをほかの人に紹介する場合、どのような点をすすめたいと思われますか?
まず、専門的な知識がなくても見応えのあるオリジナルサイトが作成できる点です。豊富なテンプレートの中から好きなデザインを選び、それを自分専用にカスタマイズすることで手軽にオシャレなホームページを作成できます。編集画面も扱いやすく、わからないことやトラブルがあった際、問い合わせに対する返答が早いのもおすすめポイントです。私は独自ドメインを使用していますが、そのドメインを使ったオリジナルのメールアドレスをPCや携帯と連結する作業で手間取っていました。何度やってもうまくできなかったため、サポートセンターに問い合わせたところ、スクリーンショットを用いた丁寧な解説で設定をサポートしてくださいました。基本無料で本格的なWebページが作れるましが、有料プランも何段階かに分かれており、自分のニーズに合わせてアップグレードすることもできます。
実の所、ウェブサイトを作ろうと思った時、私は何社か他のホームページビルダーを同時に試し、無料版でいくつかサイトを作ってみました。その中で、Webnodeさんはオシャレなデザインテンプレートが特に多く、また編集画面の動作が一番スムーズだったため、今でも愛用しております。会社によっては編集画面の動作が重く、なかなか作業が進まないところもありました。そのため、デザインや編集のしやすさを他社と比較しても、私はWebnodeさんをお勧めしたいです。
今後の抱負など教えていただけましたらありがたいです。
昨年(2022)年の8月に、沖縄の浦添市美術館というところで初となる個展を開催しました。そこで多くの方に作品を観てもらい、感想などをいただく中で、改めて作品を発表する大切さを実感いたしました。日本の工芸技術をベースにすべての作品を制作しておりますので、今後は文化交流も兼ねて海外で展示会を開きたいと思い、それに向けて頑張っているところです。芸術を通した国際的な文化交流を進められるアーティストになりたいと考えております。
オンラインポートフォリオの作成は、本当に簡単になりました。 また、中小企業またはフリーランサーのためのサイト作成方法もこちらからご覧いただけます。ほかにもWebnodeのブログでいろいろなポイントをご紹介しています。海外の成功事例、Degabriel ハンドバッグについても、こちらから読むことができます。